ケーブルテレビ万能チューナー

ケーブルテレビ局が提供する有料チャンネルコンテンツを無料で見れるようにする機材。このような機材が存在すること自体問題ではないかと議論の的となっている。スカパーの受信した映像をチューナーに繋いでも意味が無い。

見れない仕組み

ケーブルテレビ局と契約した家庭のみ特別契約の番組映像が送られ、契約していない家庭には映像が送られない。これはどのような仕組みになっているのか?これは映像信号自体にスクランブル方式を用いて実現している。その具体的な技法は同期信号圧縮方式、コアテック方式、デジタル方式の3つである。

・同期映像圧縮方式(日本国内では一般的)
CATVの同期信号の電圧レベルを上げ、水平同期と映像情報とのレベル差をなくし、視聴できない状態にする仕組み。これにより不正な波形となり、結果、テレビ画面へは、水平同期がとれず、流れたような乱れた状態で届くことから正常に映らなくなる。

・コアテック方式
あまり一般的でない方式ではあるが、暗号が強固。スクランブルがかかっている画面の状態は細かい横縞模様になる。これは、CATV画面全体を水平方向に細かく分割し、それをめちゃくちゃなタイミングで左右にスライドさせる仕組み。この方式は少数派ではあるが、来るべきデジタル時代の到来や違法チューナー対策として今後ケーブルテレビの局によっては、増える可能性がある。

・デジタル方式(非常に強固)
地上波デジタルなどによく似た技術方式。加入者と局との双方向通信によって実現されたセキュリティ強化、さらにコピー制御信号が入っている。しかし当然、そこに流れる映像素材は1回しか録画できない(コピーワンス)。このシステムを導入するには局側に膨大な価格コストがかかる。

信号を復元

もともとの信号をスクランブルされた信号から復元することは可能なのか?それぞれの方式ごとに解説する。

・同期信号圧縮方式
解除に必要な鍵(同期信号)が音声信号に含まれていることから、簡単に復元できる。万能CATVチューナーが、音声信号から解除鍵を取得し、鍵に合わせて映像をスクランブル解除する。

・コアテック方式
暗号解除の鍵は、どのラインをどのタイミングでいくつスライドさせているのかという情報が必要。これは映像とは別の場所にデジタル情報として送信されている。この崩れた画面を復元するには、高度なデジタル回路と復元ソフトウェアが必要になる。
そのため、一般に販売されている万能CATVチューナーでは対応できないがそれ相応の物を使えば復元できる場合もある。

・デジタル方式
セキュリティは強固に作られており、解析に成功したという事例は無い。

万能チューナーとデジタル放送時代の到来

これらの万能チューナーは2011年に終了する(予定)アナログ放送のみしか対応しておらずその後から始まるデジタル放送には対応していない。つまり今のうちに万能チューナーを売り切っておこうという販売店のあせりも感じられる。その証拠に秋葉原の電気店でも万能チューナーのたたき売りが盛んに行われている。販売側はデジタル放送は対応していないということをあまり客に教えない。もし教えたとしても2011年までに充分元を取れるから安心して使える。という宣伝文句を口にする。デジタル放送対応の万能チューナーというものは現在のところ存在しない。

ケーブルテレビ局にばれるのではないか

万能チューナーがケーブルテレビ局に向けて信号を発信する事は無くばれるということは無い。

法的な見解

万能チューナーには以下のような注意書きが入っている。
万能CATVチューナーに関する注意事項
実験・研究用機材としての販売となっておりますので実験・研究を逸脱した目的でのご使用はおやめください。CATV会社との契約等に関しましては当方では一切関知致しません。契約事項を厳守下さい。万が一ご購入者の方とケーブルテレビ事業者等の間に何らかのトラブルが発生致しましても当方では一切関知致しませんのであらかじめご了承ください。


このように実験・研究目的として販売している為、販売側よりも利用者の使用方法が問われる。

高級機種の存在

映像に乗ってしまうノイズなどの排除などを高級機種の場合は行ってくれる場合がある。また最近のドルビーサラウンドなどに対応したものも販売されているがいずれも高価となっている。


動作確証

ケーブルテレビによってどの方式でスクランブルをかけているかは不透明。しかしチューナーが対応しているかどうかをCATVチューナーデジタル館で確認することが出来る。また、友人の体験談として動作確認が取れているテレビ局に使っても使用不可だったという話を聞いたことがある。(設定ミスではないか?・・・)