ダイレクトインジェクション(DirectInjection,DI)、ダイレクトボックス

インピーダンス変換と不平衡→平衡変換を行う。

果たす役割

ダイレクトボックスは主に以下の二つの役割がある。
  1. インピーダンス変換
  2. 不平衡信号を平衡信号へ変換する
1のインピーダンス変換は主にエレキギターの音をミキサーに入力する時によく使われる。もともとエレキギターから出力される音声信号のインピーダンスは数百(kΩ)〜数(MΩ)と、かなりハイインピーダンスである。これに対してミキサーの入力インピーダンスは数百(Ω)〜数十(kΩ)であることから、かなりの差が出てしまっている。そのまま接続してしまうと、音声レベルが低く、それを補うためにゲインを上げて増幅すると周囲の雑音も一緒に増幅されてしまうので、あまり良い音を入力出来ない。
そればかりかインピーダンスが不整合のまま入力すると、本来の周波数特性から逸脱してしまい求めていない音色が出力されてしまうことがある。これらの問題を解決するため、出力インピーダンスがハイインピーダンスの状態からローインピーダンスへと信号を変換させる役割を担う。

2の不平衡→平衡へと変換させるのは長距離伝送において不平衡接続よりも平衡接続の方がノイズに強いからである。インピーダンスの問題ではなく、平衡接続へ変換するためにこの機材を使う場合が良くある。レコードの出力もハイインピーダンスであるが長距離接続する必要はないため、平衡信号で出力されず不平衡信号で出力される機材がある。それらをプリアンプとか、バッファーアンプと呼ぶ。

形状

ダイレクトボックスは舞台で踏まれてしまったりすることが有ることをふまえて剛体で出来ている物が多い。
がっちりしていて蹴られたりしても大丈夫なように作られている。
コネクターは、平衡側がキャノンコネクター、不平衡側が標準プラグまたはキャノンコネクターで出力される物が多い。

仕組みと種類

一つのダイレクトボックスで1系統の音声信号しか扱えない物、複数系統の音声信号を扱える物などがある。

・パッシブ型(受動型)

外部電源を必要とせず、インピーダンス変換と不平衡→不平衡変換を同時に行うことが出来る。また、内部にトランスが使われているトランス式は不平衡⇔平衡どちらへも変換することが出来る。しかしながら入力インピーダンスに上限がある。

・アクティブ型(能動型)

パッシブ型の入力インピーダンスの上限を取り払うため、FET等を使ったアンプを内部に搭載、トランスや電子回路によって平衡出力されている。電源が必要である為、乾電池、商用電源、ファンタム電源が必要となってくる。
コネクターは、平衡側がキャノンコネクター、不平衡側が標準プラグまたはキャノンコネクターで出力される物が多い。

機能

・グラウンドリフトスイッチ

ダイレクトボックスのグラウンドとミキサーのグラウンドの電位が一致しない場合、グラウンド部分にて電気が回るグラウンドループによるハムノイズが発生することがある。この時、このスイッチを操作してコネクタ側のグラウンド部分を切り離すか、入力側をフレームグラウンドから離すなどして対処する。

・ゲイン調整つまみ

ダイレクトボックス内部の増幅度を調整することが出来る。

・位相反転ボタン

キャノンコネクターに平衡出力するとき、2番ピンにHOTを送るか3番ピンにHOTを送る(標準)または、切り替えることが出来る。