D端子(D1端子〜D5端子)

映像機器を接続する為の端子の一つ。開発は日本。

呼称とその形状

D端子はコネクタ部分がアルファベットの『D』の形をしていることから、このような名前が付いた。DはDigital(デジタル)の頭文字であると誤った解釈をする人が多いがこれは大きな間違いであり、内部を流れる信号はアナログ信号である。デジタル信号はHDMI端子と呼ばれるものがそれにあたる。

果たす役割

テレビやDVDレコーダーなどといったAV機器の映像入出力端子として利用される。D1〜D5の5つの規格があり、数字が大きくなればなるほど一般的に高品質な映像信号に対応する。

歴史

今までは映像信号をY/Cb/Crという3つの信号に分離させ伝送するためには入力側・出力側それぞれ3つの端子間を3本のケーブルを使って接続する必要があった。これは接続に手間が掛かったり接続ミスが起こったりすることからこれを1本のケーブルで接続できるように端子を1つにまとめたものがD端子である。また、映像信号だけではなく、走査線数・走査方式・表示比率を操作する為の識別信号の伝送も可能になり、プラグ挿入の検知機能も付いた。構造に関しては以下の構造項目にて解説。

構造

14個のピンを内部に持ち、7つずつ上下2段にまとめた構造。そのうち輝度信号(Y)の伝送に2つ(うち一つはグラウンド)、色差信号(Cb/Cr)の伝送に4つ、走査線数/走査方式/表示比率を切り換えるための識別信号の伝送に3つ、プラグの挿入を検知するために2つのピンを用い、残り3つのピンは予備となっている。

それぞれの規格について[()内はドット数]

・D1(720×480)インターレース
アナログテレビ放送、BSデジタル、地上デジタル放送のSD放送と同等の画質。DVD-Videoもこれと同じ画質となる。DVDレコーダー等ではD1を解像度の基準としている。

・D2(720×480)プログレッシブ
DVDプレーヤーで特殊機能を持つ製品はD2出力を装備している。

・D3(1920×1080)インターレース
ほとんどのハイビジョン放送番組がこの規格を元に放送されている。

・D4(1280×720)プログレッシブ
ほとんどのデジタルハイビジョンテレビはD4入力までの対応である。

・D5(1920×1080)プログレッシブ
プロジェクター等の高級機種にはD5入力に対応した製品がある。

互換性

D端子同士の互換性は比較的確保されており、数字が低い方で統一される。たとえば、D4とD2の組み合わせの場合、D2の規格で統一されD2規格に基づいた映像伝送が可能。最悪規格が違うから映像が映らないということは無いように規格されている。

D端子の市場評価

D端子導入には様々な問題もある。コンポーネント端子(3つに分けて映像伝送)に比べケーブルの価格が高く、画質も少しではあるがコンポーネント端子(それぞれの独立)に比べて劣るといわれている。もともとD端子は日本国内においてデジタル放送を見るための標準規格として選ばれたものの、伝送される信号そのものはアナログ信号であるため、映像素材の著作権保護が充分でない端子であると映像クリエイター達は訴えている。そのため、D端子は徐々にHDMI端子へと移行しつつある。しかしながらデジタル映像をD端子で全く扱えないようにしてしまったら不都合があるため、D2〜D4程度の映像品質しか入力に対応しない機種が多い。