バランス伝送
二本の電線を用いて元の信号と位相を反転させた信号を送ること。これにより耐ノイズ性が確保される。
名称
バランス伝送は音声伝送で使われ、映像で行われる事はない。端子としてXLRキャノンタイプコネクタかステレオ標準プラグを用いる。マイクロフォンなど、会場を這わしたりして不特定多数のノイズが乗るような場合やミキサーの最終出力からアンプまでに距離があるような場合によく用いられる。
キャノンコネクタのピン構成は以下のようになっている。
キャノンタイプコネクタのピン属性
画像 | ピンの番号 | ヨーロッパ式属性 現在はこちらに統一 | アメリカ式属性 スタジオはこちらの可能性あり |
 | 1番ピン | グラウンド(GND) | グラウンド(GND) |
2番ピン | ホット | コールド |
3番ピン | コールド | ホット |
AESにより、ヨーロッパ方式が選ばれたので、これ以降、ヨーロッパ方式を前提に記述した。3番ピンのコールドには2番ピンのホットの波形の逆転したものが流れる。これを利用してもともとの信号をノイズの影響を受けることなく取り出す。2番ピンと3番ピンのの差をとって半分にしたものと同じになる。
これは、2本のケーブルに同等のノイズが入るという事を想定に考えられた物であるが、実際問題完璧に同等のノイズが入って綺麗にノイズが消える可能性は100%ではない。
[参考]ノイズ打消しを論理的に計算
参考程度に実際に計算してみる
本来の信号をSignal、伝送中に入ってしまったノイズをNoiseとする。
普通の信号は+Signal
逆転した信号は-Signal
ホットに流れる信号は(Signal+Noise)
コールドに流れる信号は(-Signal+Noise)
となる
これの(Hot)-(Cold)なので、
=(Signal+Noise)-(-Signal+Noise)
=Signal+Noise+Signal-Noise
=Signal+Signal+Noise-Noise
=2×Signal
この2×Signalを半分にするとSignalとなるので、もともとの信号Signalをノイズの影響を受けずに取り出す事が出来る。
普及状況
放送局ではこの方法で音声を伝送している。それは収録現場では様々な機材が動いており、様々な電磁ノイズが出ている等過酷な条件である事があるからでもある。
コンサートや講義などで移動するような機材(マイクロフォン)に使われる。
スピーカーの入力端子にキャノンコネクターを使ってバランス接続する場合があるがこの時もバランス伝送されており、BTL接続といって出力を4倍にする方法が使われている事が多い。